症例スライドショー(標準経過態)

『標準経過態』とは?
『標準経過態 The Order Processing Formation of Incisors』とは、"乳側方歯群の交換時期が近づく前に、永久4切歯が、その顎について正しい位置に配列した状態"をいう。

つまり、乳歯列側方拡大によって歯槽基底が拡大、歯列弓が優形に形成され、ディスクレパンシーが解消、上下C〜C間に永久4切歯が正しく配列している状態である。 どの症例においても標準経過態になれば、正しい永久歯咬合を獲得するための途中形態として、理想的な経過状況にあると言える。

このためには、当然ながらほとんどの症例で乳側方歯群の側方拡大が必要となる。 そして永久4切歯を配列するには、多くは可撤式装置(プレート)によることが多いが、その場合は乳側方歯群に固定源(乳歯アンカレッジ)を求めていることになる。

標準経過態になるのが早い程、口腔周囲の筋群も良好な発育を期待できる。『正しい機能は正しい形態によって作られる』というのが基本的な考え方である。ただし形態を整えつつ、筋機能訓練などを併行して行う場合も当然ある。

配列した4切歯は、あくまでその顎について正しい位置であり、上顎と下顎の相互間の位置関係は別に考える。しかし標準経過態となった時には、前後的、側方的、上下的の位置関係はすでに正しくなっているべき、というのが歯列育形成TMの本来の考え方である。

例えば、乳歯列U級で切歯斜面プレートを長期間使用、永久4切歯が正しく配 列し、T級の状態に咬合してはいるが、まだU級でも咬合できる(二態咬合)よ うな症例も、標準経過態といってかまわない。

一方、乳歯列V級症例で、E/Eの前後的位置関係T級を目標として、FKOな どの機能的顎矯正装置やチンキャップを継続している場合もある。例えば反対咬 合などで、E/E関係が乳歯列V級のまま、上顎前歯の傾斜だけで被蓋が改善し ているような場合、未だ標準経過態とはよばない。

以上、歯列育形成研究会会報:育研通信第11号『育研通信講座』より抜粋、一部変更

スライドショーは、いずれも現在、歯列育形成TMを行っている症例の一部です。 なお診断、処置方針については今回省略させていただいております。

症例スライドショー(標準経過態)

歯列育形成研究会


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